No.160  声楽家の苦労…
 
 

 ご存知の方も多いにちがいないが、ストラヴィンスキーの「イタリア組曲」はとても親しみやすいメロディにあふれている。マイスキーも88年の来日時に演奏した。オリジナルのバレエ「プルチネルラ」をたとえばアバド指揮のロンドン響で聴き、イタリア組曲としてパールマンやハイフェッツのヴァイオリンによるもの、あるいは今日のようにチェロによるもの(たとえばモルクのチェロ)と聴き較べるのは楽しい。ショパンのチェロ・ソナタもここのところにきてようやく注目されてきたが、一度聴けば忘れることのできない旋律があちこちにちりばめられている。デュ・プレ、ヨー・ヨー・マ、ロストロポーヴィチ(←アルゲリッチのピアノ!)がお薦め。
 6月初め、東京へフランシスコ・アライサ(テノール)を聴きに行ってきた。ピアノが斎藤雅広さんで、これはお腹がいっぱいになる充実した一夜だった。曲間でステージ袖に引っ込むと、アライサは次の曲までなかなか出てこない。実はこの時アライサはナイフでりんごの皮をむいて食べているのだそうな(声楽家は苦労しますね)。トコディ(ソプラノ)はカレーラス(テノール)から教わって蜂蜜をステージ袖で口に含むとか…。それではまた。

(2000年7月1日 ようよう ま 記)