No.167 オペラ「魔笛」仕込みの裏話
 
 

 実は今、大ホールの楽屋でこの会報を執筆している。1月20日(土)夜7時。前日のうちに大道具やら衣裳やら楽器やらをホールに入れておこうというわけである。横須賀から向かっているはずの11トントラック3台はまだ着かない。外は雪から雨に。路面が凍らないよう祈る。搬入作業を翌朝にまわすわけにはいかない。

 ところで、オペラの公演ではいわゆる「禁止行為」が舞台で行われることが多い。具体的には、第2幕で[1]ローソク21本の使用、[2]裸火(イソプロピルアルコールの入った鉄製の容器3個)の使用である。消防署へ事前に「禁止行為の解除承認申請書」及びその内容の明細を提出し、許可を得なければならないから、意外に手間がかかる。細かな内容を見ると、ローソクのサイズ、重量のほか、炎の高さが約3センチであることも記されている。[2]のほうでは、炎は約30センチの高さになるそうで、「禁止行為の行為者」全員の性別(全員男)・住所(全員チェコ共和国プラハ市)・職業(全員オペラ歌手)・氏名・年齢(29歳から51歳まで様々)までわかる。また、装置のイラスト、チェコ語による20枚にも及ぶ文書(何が書いてあるかわからない!)も添えられており、いかに準備が大変か、ほんの一例ながらおわかりいただけると思う。

 団員は187名。楽屋通路には飲み物・軽食が用意されている。使用する紙コップは約600個。お湯入りポット5〜6本、ミネラルウォーター約15本、インスタントコーヒー、紅茶、砂糖、ミルクを用意する。

 新演出による「魔笛」はファンタジーの世界にお客様を引き込むすばらしいものだと大好評である。十分ご堪能いただきつつも、幕間では楽屋裏のごったがえした状況をご想像いただくとより面白いかもしれない。(以上、「魔笛」の楽屋裏とっておきの話)

(2001年1月21日 ようよう ま 記)